茅野
この場所は自分にとって原体験が詰まった場所.
数年前に茅野駅に茅野市民館が新しく建築され,
建築賞も受賞したりと幼少の頃からすると見違えた場所になりつつある茅野.
今年2010年に開館30周年を迎える茅野市美術館で
「藤森照信展 諏訪の記憶とフジモリ建築」が開催されていたので行ってきました.
建築家である藤森照信さんもこの地で育ち,この地に原体験が詰まった方です.
フジモリ建築は「神長官守矢史料館」「高過庵」といった代表作にも表れている様に
素材をもの凄く身体感覚に近づける方法で設計されています.
展示物も今までの建築物のエスキース段階のスケッチとともに
屋根や壁の仕上げ材をどうやっておさめるのかを
原寸の素材と図面が等間隔に展示してあり
とても迫力があるとともに藤森さんらしい暖かい展示会になっていました.
あの展示方法ならば建築を勉強していない人であっても
建築の一部分がどのように構成されているのかが
身体感覚で分かりやすかったと思います.
船のようなモノが浮いている上の画像も
今回の展示用に現地の小学生とともにワークショップで造られた
「茶室 – 空飛ぶ泥舟 – 」なのですが,内部は檜で構成され,
外部の上半分の仕上げは銅板を木で叩きながらもみほぐし,
下半分を現地の土を利用し左官仕上げ.
これもまた藤森さんの特徴が出た建築物で面白い.
この空飛ぶ泥舟に入室出来るチャンスがあったらしいですが,
残念ながらもう終わってしまったみたいですね.
どうやって中に入るのでしょう.
高過庵よりも怖そうですよね.
利休が生きていたらどういった評価になるのかも気になるところ.
藤森さんは建築史家だったので色々な顔をお持ちで面白いのですが,
路上観察学会という大人の知識を持った子供の散歩のような活動もしているそうで.
「路上観察学会 物件品評会 in 茅野」というトークセッションが開催されてたので参加してきました.
端的に説明すると
路上観察学会の赤瀬川原平(作家、画家),藤森照信,南伸坊(イラストレーター),松田哲夫(編集者),林丈二(エッセイスト)が
町を歩いて気になった風景を写真で撮って,
後でみんなでああでもないこうでもないと深読みする会.
今回は諏訪大社上社「御柱祭」山出しが行われていた平成22年4月3日、4日の茅野編.
どんなものが品評されたかというと,
町の人が大きな石を端に寄せた場所を深読みして「この配置と角度はアートだ」とか
蔵の棟木を隠す為の丸い材を「蔵ワッペン」と置き換えてみたり,
防風林の形状を深読みして「建築的だ」と真面目に構造を話したりと様々.
建築家としてももの凄く勉強になり魅力的な方ですが
日々アンテナを張りながら疑問を持ち
その疑問は何故起こるのかを
仲間とセッションしながら一つ一つ回答を出していく.
この継続力と日々の意識は大事だなと.
早速,自分もこの大人の散歩を日々の生活に投入しようと思います.
今回の展示は久々にとても考えさせられる展示で
360度どこを見渡しても山に囲まれている素晴らしい風景とともに
茅野の澄んだ空気を大いに吸って充実感でいっぱいでした.
因に,同じく諏訪出身の伊東豊雄さんとのトークセッションも開催されるそうです.
新宿から2時間半程度ですので是非.
藤森照信展 諏訪の記憶とフジモリ建築
●会期:平成22年7月24日(土)-8月29日(日)
●会場:茅野市美術館
●開館時間:10:00-18:00(7月24日は10:00から開展式を開催し、終了後に開場)
●休館日:火曜日
伊東豊雄 × 藤森照信トークセッション
「諏訪の記憶、21世紀の建築」
●日時:平成22年8月22日(日)13:30開場 14:00開始
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