つづき.
前回のPencile Print Trial 検証編
に引き続き,今回はデザインについて.
検証作業でスミの濃度やシルバーの盛り具合など
一つの方向性が決まり,いざスタート.
鉛筆風トライアルということで、ここは純粋に
「鉛筆」といえば...
をキーワードに構成しました.
最初に決めた事は
アナログ部分とデジタル部分を混在させた上で,
①鉛筆部分(シルバー版+スミ版)
②シルバー版のみ
③スミ版のみ
の大きく3種のデータに分けること.
ここで言うアナログとデジタルとは,
アナログを子供心
デジタルを大人心
と捉えています.
アナログ部分には子供の頃に誰もが一度は経験したであろう
鉛筆を使った行為をデザインに落とし込み,
一方,大人になることで得てしまった知識
幾何学模様をデジタル部分に表現しました.
上の画像を見れば思い出すでしょうか.
10円玉のコインや凹凸のあるモノに紙を置いて上から擦るこの行為は
ある日突然,画家になったかのような錯覚を楽しんだものです.
そもそも,今回のトライアルの注意点として網点は禁止で
ベタ面と線でデザインしてくださいということだったのですが,
挑戦してこそトライアルという無茶を言って
この画像を取り込んで網点として挑戦してみました.
紙の下に置いた素材は、亜鉛凸版(1mm版)を使用しています.
実はこの凸版を作成するのにも
線数や陰影部分の調整などを何種類も試行錯誤していて
色校正ならぬ凸版校正の3回目でようやく巧い具合に絵柄が表れる様になりました.
データの作成具合は企業秘密ということで.
紙の上から擦る際もFから6Bまで検証して,
上に載せる紙の種類にもよりますが今回に限って言うと
堅すぎず柔らかすぎない2Bが最適という事が判明.
上の画像がシルバー版とスミ版を分けたデータです.
印刷の工程は鉛筆の黒鉛の光沢感を表現するため,
シルバーを刷ってからスミ版を載せます.
そして,
出来上がりはいかがでしょうか.
個人的な感想はコスモテックさんのブログにも書きましたが,
今回トライアルを通して感じた事は
表面的にはスミ一色でも鉛筆っぽさを表現出来ると思いますが,
角度によって表れる光沢感や摩擦によって汚れる体験も表現しているので
「モノ」としてとても可能性を感じるトライアルになりました.
また,網点を使用する場合、今回の様にシルバ ー版とスミ版を同じデータにするのではなく,
光沢を演出するシルバー版に少しムラを微調整してあげることで
光沢感が均質にならずにさらに鉛筆っぽく再現出来るのかなとも思いました.
次はわら半紙とかハトロン紙で試してみたいですね.今回は刷りに立ち会えなかったので,
細かい注意点等は青木さんに聞いてみるといいかもしれません.
青木さんには本当に感謝です。ありがとうございます.
byあちらべ
ということで,
「Pencile Print Trial」
でした.
なお、今回の印刷トライアルで作成したサンプルは
コスモテックさんが今後行うキャンペーンで配布する予定です.
実際手に取って確認してみたい方は要チェックですよ.
Pencile Print Trial
・あちらべ 編
・emograph 編
・Graphic57 編
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